Radical Angler's Talk

3弦

先日、といってもずいぶん前だけど、スカパーで島崎憲司郎さんの番組があって、その中でゴールドワイヤには使用済みのギターの4弦がいいよってなことを宣っていた。週末にそれを見ていて、そうか、それなら・・・と娘の部屋(に将来なるはずの物置部屋)に置いてあるギターを発掘。

真剣にやっていたのは中学、高校、大学までで、実はこのギターも結婚するときの引っ越しで処分しようとしていたのを両親がもったいないと実家に持って帰って、僕が家を買ったと同時に始末に困ってまた持ち込んだという、いわゆる粗大ゴミ(笑) ケースにはセンス、内容共に、もう穴があったら入りたいような落書きがあったりして・・・。

せっかくなので超久しぶりにチューニングして弾いてみる。先日伊勢さんとの関わりがあったりもしたので自然と「22歳の別れ」あたりが出てきた。が、ものの見事に指が動かない。そもそもネックが反り返ってしまって音がまともに出なかったり・・・。しばらくムキになって弾いてはみるものの、こりゃリハビリという言葉では片付けられないと悟ってそそくさと弦の回収に。弦は確かMartinのMediumを使っていたはず。オレンジに黒でギターが写っているパッケージだったと記憶しているけど、今のサイトを見てみるとそういうパッケージはもうないんですねぇ・・・。4弦を取り外そうと思ったけどもっと細いのがいいかも? と、3弦をはずして外側を巻いている金線をビロビロ~ンと引っ張って早速ニンフを巻いてみた。ふむ、このねじくれている感じがなかなか・・・。

1本巻いてみて気が済んだのでたばこに火をつけ、ギターのことを考える。当たり前といえば当たり前だが、あまりに弾けなくなっていたのがちょっとショックだった。僕の人生で猛烈にはまった最初の趣味といえる。ほんと、ひと頃はギター抱えて飯食ってたくらいに(笑) その後、ギターはエレキになり、ギターを持つ手はいつの間にかラリーカーのハンドルを握り、それがゴルフクラブになったりパチンコのハンドルになったりして、今は左手に釣り竿、右手にカメラを握りしめている。背中には仕事とか家族とか家のローンとか(^^; あ、家族は両腕で抱きしめてると書かなければまずいっすかね?(笑)  まぁ、振り返ってみればそれなりにいろいろやってはいるな、と。でも、とりあえずどれも10年単位では続いているものばかりなので、飽きっぽいというほどではないだろう。将来、僕の手には別のものが握られていることがあるのだろうか?

釣りに関して今までの趣味と違うところは、「将来プロ」みたいな夢は全くないこと。この年でまだそんなこと考えてたら相当やばいですが(笑)

しかし当時、ギター抱えた坊主頭の少年は、風だの陽水だのN.S.P.だのとんぼちゃんだの松山千春だのさだまさしだのアリスだののコピーをしながら「将来ひょっとして・・・」みたいな夢と野望を持っていた。それは髪の毛が伸びるにつれブラックモアだペイジだクラプトンだと変わっていった。さらに月日が過ぎると、MOMOのステアリング握りしめたあんちゃんは、バタネンだブロンクビストだカンクネンだと大騒ぎしていた。さらに時間は流れ、残業に疲れた青年は、ジャンボ尾崎や中島常幸との優勝争いを夢想していたのである。もちろん、夢は夢だったし、そもそもその夢に向かって歩き出そうとすらしなかったし、多分全然才能もなかったのだけれど・・・。

まぁ、わかりやすい構図だった。そうした趣味は行き着く先が明示されていた。「とにかくうまくなる!」これが最大かつ最終的な目的だったと言っていい。「こりゃ無理だな・・・」と思った瞬間、熱意も冷めていった。

そして、釣りのことを考える。ずっぽりはまってかれこれ13年。これまでならそろそろ限界が見えてきて、モチベーションを失いつつある頃・・・。「うまくなりたい」その想いは残りつつも、目指す方向は明示されていない。白状すれば、「釣りで飯を食うこと」を考えなかったわけじゃない。メーカーのテスター、釣具屋、釣り雑誌の編集者、釣り具メーカー勤務、遊漁船の船長、漁師。どれも↑に比べればバリアは低い。でも、そうは考えられない自分がいた。

要するに、「趣味は趣味であって夢でも目標でもない。」と割り切ることができたというのが正直なところなんだろう。枯れたというか、覇気がなくなったというか・・・(^^;;;

でも、おかげで「釣り」はとても楽しい。「上手になること」は最優先事項ではなくなったのである。そもそも、皆さんご存じの通り、釣りでは魚が結果ではあるけれど、その重要度はそれほど高くないと感じている。「たくさん釣れる」だけが釣りの楽しみかというとそうではない。ギターには音が、ラリーにはタイムが、ゴルフにはスコアが結果として厳然とあった。一転、釣りは、それにまつわるいろんなものが楽しい。

以前は「努力が報われる楽しさ」はもちろん、「努力が報われない悔しさ」がモチベーションになっていたのだが、最近は「「努力が報われない楽しさ」がモチベーションになっているというか・・・。どMですかね?(笑)

以前なら僕よりうまいやつに対する羨望、嫉妬、やっかみ、ねたみ、そねみ、ジェラシー、あ、全部一緒ですね(^^;;; そういうのがすごく強かった。だけど今はないんだよね~、不思議なくらい。あ、一つだけ、釣友Yが僕よりでかいの釣ったらそれはすごく悔しいかも~(笑) 多分、相手は隣の釣り人じゃなくて魚だと知っているからなんだろう。言葉にしてしまうと我ながら嘘くさくてきざな台詞。でも、今の正直な気持ち。今と同じ気持ちであの頃、ギターや、ゴルフボールに向きあえていたら・・・って、3弦のないギターを見ながら、そんなことを考えた。
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新しい弦、付け替えてみようかな・・・。
by rionpapa | 2007-04-23 21:02 | 戯れ言