Radical Angler's Talk

ツィス

魅力的な人物、もしくは「いっちゃったヤツ」というのは多面性を内包していることが多いと思う。面と向き合うと重く、暗い情念をほとばしらせるものだから、たじろいで数歩下がってその人を俯瞰してみると意外なことに乾ききって飄々とした雰囲気をまとっていたり。逆に明るく軽い人だと思っていたら、背中になにやら重く湿ったマントを羽織っていたり。それは汗なのだろうか? それとも涙だったのか?

週末に本屋に行ったら「不遇の天才」と言われた広瀬正の文庫本が復刻されていた。最初に読んだのは確か大学の時だったかと。

精緻で軽く、柔らかくて客観的。それでいてその底辺には大河のような悲しみが静かに流れている。話のおもしろさもさることながら、その雰囲気に夢中になったのを覚えている。

それから何年か経った時、また読もうと思ったけどすでに処分していたのか本棚にも段ボールにも見つけられず、何となく悶々とした気持ちを抱えたままだった。

広瀬氏は直木賞に3度もノミネートされるも受賞にはいたらず(SF作品に「リアリティーが・・・」とほざいたバカ選者がいたそうだ)、47歳の時に路上で心臓発作を起こし帰らぬ人となる。読後にそのことを知った僕は残念でならなかった。もっといろいろ読みたかった。
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当然あるのはすべてお買い上げ。あと確かミステリーが1冊あったはずだけど在庫なし。

二日で読んじゃった。

もったいない・・・と、久し振りに思った。

旨いものを夢中になって一気に食ったあとで「あぁ、もうなくなっちゃった・・・」と嘆く気持ちに似てるかな。

実は一番お気に入りの「ツィス」 最後の数ページだけとってあるんです。今夜じっくりとかみしめて読みます。
by rionpapa | 2009-02-24 20:40 | 戯れ言